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ダムのキャンプ場に思うこと。

夫婦杉
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出典:http://fukuumedia.com/

五カ山ダムのキャンプ場について書いていたら、ダムと自然の川について触れずにはいられなくなったので、書いてみた。

ダムのキャンプ場に思うこと。

生活用水の不足や、水害に備えて川を人の暮らしに合ったものに変えるというのは、昔から行われてきたもので、その最たるものがダム建設なんだと思う。

ダム建設が自然環境を大きく変えることになるというのは、周知の事実だと思うけど、それが知らぬ間に、無関心のままに行われているのも大きな問題だろう。
もちろん大規模な公共事業であれば、告知はされるはずだが、じわじわと地域社会を巻き込みながら「No!」とは言えない状況に追いやられ、気がつけば”着工して久しい”となっているのがダム建築の得意技だ。
特に今回の五カ山ダムにおいては、その傾向が強く、忘れられた頃に完成する。
反対派を押しのけつつ、30年かけて工事を行ってきたというのもダム建築ならではの光景ではないだろうか。

さらにこの場所の近くには、すでに2つも大きなダムが存在しているのだ。

以前ブログに書いた通り、小学生の頃からカヌーイストやアウトドアマンの本を読みあさってきたおかげで、コンクリートで護岸された”水質の綺麗な川”を見ると、複雑な気分になる。

川というものも、フトコロが深いタフな自然の一面もあれば、悲しくなるほど繊細な一面も持っている。

自宅の近くの川にも昔から数羽のカワセミが住んでいて、あの美しい瑠璃色の羽ばたきを目にするたびに、心が躍るような興奮を覚えていたが、その川の横に綺麗な児童公園ができて以来、カワセミたちはぱったりと姿を消してしまった。
野鳥たちは、ほんとうにもう、こつ然と姿を消してしまう。

タフな川でも、ちょっと強引にいじれば全く別のものになるのは明白だ。

作られたダムに対して「元に戻せ」とも言えないし、戻せるわけもないのだけど、人の力の強大さを感じるとともに、ある種の虚しさも感じる。

ダムでのキャンプやアウトドアは、楽しい思い出ばかり。
だからこそ、もっと楽しめる場所として、素敵な場所が増えていけばいいなとも思っている。

五カ山ダムの役割とは

五カ山ダム構想

出典:http://k-keikaku.or.jp/xc/

五カ山ダムに与えられた役割は、まずは『洪水調節』
昔から暴れ川とされている那珂川の流量を調節し、河川の拡張工事が困難な福岡市の代わりに、上流域で水量をコントロールする狙いがある。

次に『流水量の維持』
川としての那珂川水系は、古くから福岡市民に利用されてきたため、河川の流量が少ない場合に五カ山ダムを放流し、河川環境維持や、農業用水、生活用水を供給できるように計る。

そして『水道水』
これも福岡都市圏の水道を潤わせるための運用になる。

最後に、『異常渇水時の緊急補給』
福岡でたびたび起こる異常渇水に見舞われた際、通常時は温存しておき、異常な大渇水時に備えて水源を確保しておくのがこの五カ山ダムの一番の役割でもある。

やっぱり五カ山ダムでも

夫婦杉

出典:http://fukuumedia.com/

反対派の意見としては、税金の無駄遣いという意見や、自然を守ろうという意見が目立つが、やはり自然破壊というものに関して、取り返しのつかない恐れのようなものを感じる。

五カ山ダムは福岡県の事業だが、この五カ山ダムの建設によって、佐賀県が昭和31年に指定している天然記念物である樹齢700年の”夫婦杉”が巻き込まれている。
すでに移植工事が進められているが、専門家の話では移植は現実的とは言えないと言われている。
もちろん、歴史的な大樹以外にも多くの自然物がダムの底に沈み、生態系は大きく変わることになるだろう。

キャンパーたちのマナーに関して、咎めたくて仕方がないという人達もよく見かけるが、消し炭やゴミを放置したり、貝類を採取することは、モラルに反し、(場合によって違法)生態系を崩すことにも繋がる。

ただし公共事業における自然環境への影響は、それとは比較にならないほど巨大なものだというのに、地元の人以外ほとんど関心を示さない。

デカすぎて目立たないという、いい例だ。

自然な川の形

川が描くS時のカーブは、水流を弱めながら山の養分を海まで運ぶ役割を果たしている。
S時の出っ張りだった部分は、時がたつにつれて自らの水量によって凹みに変化し、凹みは出っ張りに変わるのが自然の川の動きである。
そうして山の岩は砂利になり、いくつもの自然の住処を作りながら川を超えて海まで運ばれるという。

これが護岸整備された川だと、砂だけが先に流され、生き物の住処になる暇もなく、山の岩や土や砂がどんどんと海まで流れ出し、川本来の治水能力が失われ、洪水を引き起こすとも言われている。

そう思うと、自分達の身の回りの川に、自然のままの川の姿をしているものの少なさに驚きを感じてしまう。
ほとんどの川は直線になり、川の横も底もコンクリートで固められている。
少し強い雨が降ると、簡単に冠水してしまうあの場所は、一体何のための工事なんだろう。